タイラー・ハミルトン、ダニエル・コイル著『シークレット・レース』読了しました。
感想と言うより、ガーミンのファンとしての個人的な覚書です。
翻訳者さんのあとがきで「この本は決して”暴露本”などと呼ばれるべき類のものではない。」と書かれているけど、本についてる帯がRRファンを遠ざけている気もする。
基本的な内容は、ハミルトンの自転車人生について。もちろん彼が足を踏み入れていったダークな所と一連の捜査の話とか色々出てくる。注釈でUSADA報告書の証言やドーピングに関する事例なども織り込まれている。USADA報告書で一旦結論が出た、ポスタルと「あの時代」、これまでの経緯を知るには良い本かも知れない。少なくとも有志で翻訳をされた記事・インタビューを除けば、日本語に翻訳され書籍として出ているものは少ない。
ハミルトンは忍耐強いアスリートである一方、目線が「普通の人」の感覚に近い分理解しやすい。
少なくとも私には彼の行動が理解しやすかった。
(※私が普通以下のダメなやつであるのは置いといて・・・)
ランスやランディス、そしてJVみたいな極端な所がないというか。
そして、ハミルトンの目を通して見た選手たちの姿が印象に残った。
ランス、ヒンカピー、ヴォータース、ヴァンデヴェルデといったポスタルの選手達。
そしてウルリッヒ、パンターニといったランスのライバル達。
プレンティス・ステファン医師
本書を読むまでステファン医師について知っている事は、以下の事だけだった。
2005年のレキップに発言した記事で起訴された為、謝罪文を出しTIAA-CREFを辞職。翌年に再雇用されている。再雇用されるまでは聖メアリー医療センターの緊急治療室の医師、副業としてスポーツドクターをしたそうな。(SFWeekly記事より)
また、ステファン医師がハミルトンと共に名指ししたジェミソンと2008年のツアー・オブ・ユタで口論になりぶん殴られる事件が起きている。私はハミルトンとジェミソンの主張、ステファン医師の主張の食い違いについてはどっちが本当か判断できない。
しかし、ジェミソンの言った「ステファンは(薬物問題の)暗い醜い過去がある。もし彼が他の人間のステートメントを作るなら、人々がそのことを知るべきだと思う。」は選手も同じだし、ハミルトンがステファン医師の過去の薬物問題を攻撃したあたりは実に皮肉。ハミルトン自身も同じように「過去の薬物問題」を持つ立場になった。
ステファン医師がポスタルの選手にアスピリンと経口ビタミン剤以外のものを与えることを頑なに拒否したのも、彼自身が元々薬物中毒でその更生に苦しんだからではないかと思った。
ちなみにステファン医師はサングラスしてると一件強面なおじさん?と思ってしまう(笑)
1999
私にとっては色々象徴的な年。
以下書き出してみる。
理由はヴァンデヴェルデのインタビュー。彼はポスタル時代の事に関して、いつも「1999年のツールは楽しかった」とか、1998年、1999年が良かったと語っていたから。
しかし、以下の発言から彼が無意識にそうしていたのかも知れないと思った。
この年に良い方に変化は可能だったのだろうか?既にプロトンの多くの選手がEPOに手を染めていたのであれば結果は同じだったのだろうか。
がんばれ!ベアーズ
エースであるランスを支える為の個性豊かなメンバー達。このタイトルが付いた第5章はかなり興味深く読んだ。私がロードレースに惹きつけられる大きな理由のひとつが、まさに「がんばれ!ベアーズ」だからかも。そして、チームが変わり者の個性派揃いだとなおのこと惹きつけられる。
「問題児ばかりの弱小チーム」ってガーミンの事みたい。
(※フォローすると問題児は一部です。まあその代表はミラーさんという事で・・・)
続きはまた気が向いたら。
感想と言うより、ガーミンのファンとしての個人的な覚書です。
翻訳者さんのあとがきで「この本は決して”暴露本”などと呼ばれるべき類のものではない。」と書かれているけど、本についてる帯がRRファンを遠ざけている気もする。
基本的な内容は、ハミルトンの自転車人生について。もちろん彼が足を踏み入れていったダークな所と一連の捜査の話とか色々出てくる。注釈でUSADA報告書の証言やドーピングに関する事例なども織り込まれている。USADA報告書で一旦結論が出た、ポスタルと「あの時代」、これまでの経緯を知るには良い本かも知れない。少なくとも有志で翻訳をされた記事・インタビューを除けば、日本語に翻訳され書籍として出ているものは少ない。
ハミルトンは忍耐強いアスリートである一方、目線が「普通の人」の感覚に近い分理解しやすい。
少なくとも私には彼の行動が理解しやすかった。
(※私が普通以下のダメなやつであるのは置いといて・・・)
ランスやランディス、そしてJVみたいな極端な所がないというか。
そして、ハミルトンの目を通して見た選手たちの姿が印象に残った。
ランス、ヒンカピー、ヴォータース、ヴァンデヴェルデといったポスタルの選手達。
そしてウルリッヒ、パンターニといったランスのライバル達。
プレンティス・ステファン医師
本書を読むまでステファン医師について知っている事は、以下の事だけだった。
- ガーミンの前身チームTIAA-CREFの時代から現在までチームの医師をしている。
- ポスタルが何らかの理由で体制を変化させた時、チームを去っている。
- TIAA-CREFからガーミンまで、チームのアンチドーピングや、落車で頭部を打った時の対処等様々なガイドラインをJVと共に作った。
2005年のレキップに発言した記事で起訴された為、謝罪文を出しTIAA-CREFを辞職。翌年に再雇用されている。再雇用されるまでは聖メアリー医療センターの緊急治療室の医師、副業としてスポーツドクターをしたそうな。(SFWeekly記事より)
また、ステファン医師がハミルトンと共に名指ししたジェミソンと2008年のツアー・オブ・ユタで口論になりぶん殴られる事件が起きている。私はハミルトンとジェミソンの主張、ステファン医師の主張の食い違いについてはどっちが本当か判断できない。
しかし、ジェミソンの言った「ステファンは(薬物問題の)暗い醜い過去がある。もし彼が他の人間のステートメントを作るなら、人々がそのことを知るべきだと思う。」は選手も同じだし、ハミルトンがステファン医師の過去の薬物問題を攻撃したあたりは実に皮肉。ハミルトン自身も同じように「過去の薬物問題」を持つ立場になった。
ステファン医師がポスタルの選手にアスピリンと経口ビタミン剤以外のものを与えることを頑なに拒否したのも、彼自身が元々薬物中毒でその更生に苦しんだからではないかと思った。
ちなみにステファン医師はサングラスしてると一件強面なおじさん?と思ってしまう(笑)
1999
私にとっては色々象徴的な年。
以下書き出してみる。
- フェスティナ事件の翌年
- ランス・アームストロングのツール7連覇の最初の年
- アンチドーピングを訴えたクリストフ・バッソンがツールのレース中ランスに恫喝され、プロトンからもチームからも無視され大会を去った。
- ヴァンデヴェルデがポスタルでのドーピングプログラムに組み込まれる以前の、彼にとっては「まだクリーン」でいられた最後の年(※もちろんテストステロンや回復の薬物をデルモラル医師から与えられているが、自分の意志で一線を越えたのは翌年だったのだろう。)
理由はヴァンデヴェルデのインタビュー。彼はポスタル時代の事に関して、いつも「1999年のツールは楽しかった」とか、1998年、1999年が良かったと語っていたから。
しかし、以下の発言から彼が無意識にそうしていたのかも知れないと思った。
"I would have loved to say in hindsight that I did the '99 Tour 100 percent clean,'' he said. "But at the time, you're already doing 'recovery' every day, all the [injectable] vitamins. It was just kind of like that slow progression. Maybe if I hadn't been doing all those other things, it would have been a bigger step.'' - Bonnie D. Ford: Cyclist tries to move onハミルトンはこの年のツールがターニング・ポイントだったと語っている。
この年に良い方に変化は可能だったのだろうか?既にプロトンの多くの選手がEPOに手を染めていたのであれば結果は同じだったのだろうか。
がんばれ!ベアーズ
アメリカ西海岸の町にある、問題児ばかり抱えた弱小チーム「ベアーズ」を、マイナー・リーグで活躍したこともある清掃人バターメーカーがひょんな事情から率いることになり、奮戦しながら勝ち抜いていく姿を描いていたコメディ作品。-Wikipediaハミルトンは、1999年のツールにおけるポスタルをそう例えていた。
エースであるランスを支える為の個性豊かなメンバー達。このタイトルが付いた第5章はかなり興味深く読んだ。私がロードレースに惹きつけられる大きな理由のひとつが、まさに「がんばれ!ベアーズ」だからかも。そして、チームが変わり者の個性派揃いだとなおのこと惹きつけられる。
「問題児ばかりの弱小チーム」ってガーミンの事みたい。
(※フォローすると問題児は一部です。まあその代表はミラーさんという事で・・・)
ヴァンデヴェルデも1999年のツールについてハミルトンと同じような事を語っていた。
「チームの仲間と過ごす時間が、ただ楽しかったのだ」。ハミルトンが心が痛みながらも捨てられない思い出。チームスポーツの魅力。ファンだけでなく、選手もベアーズを求めているのかも。
ヴァンデヴェルデは特にそういう選手だったのではないかという気がしている。
少なくとも、ミラーさんとヴァンデヴェルデにとっては、ガーミンというチームが大切な「ベアーズ」になった。それは本当に本当に良かったと思うのだ。
「チームの仲間と過ごす時間が、ただ楽しかったのだ」。ハミルトンが心が痛みながらも捨てられない思い出。チームスポーツの魅力。ファンだけでなく、選手もベアーズを求めているのかも。
ヴァンデヴェルデは特にそういう選手だったのではないかという気がしている。
少なくとも、ミラーさんとヴァンデヴェルデにとっては、ガーミンというチームが大切な「ベアーズ」になった。それは本当に本当に良かったと思うのだ。
続きはまた気が向いたら。
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